上乗せ規制とは?
建築基準法では、地方の特性により、国で一律に定めるのではなく、各地方自治体が
決めた方が良い規制というものを定めており、地方自治体(特定行政庁)の条例制定権を
認めています。そして、その定めても良い内容や範囲については細かく法文で規定されて
います。
一般的には、避難通路の規格を法律よりも厳しくするなど、生命の安全を確保する為の
上乗せ規制である事が多く、実際に国民の為に運用されています。
本編の話題からそれますが、この上乗せ規制については、建築基準法の規定に基づかない条例
を制定してしまっている特定行政庁も数多くあり、その合法性は非常に疑問です。
都市部ではほぼ、建築基準法は守られています。
都市部で基準法に基づかない規定を定めている条例においては、「建築主は・・・をする様、
努力する事」などと、規定されており、これらの努力規定に留めている事がほとんどです。
強制している訳では無いので、行政庁が「建築基準法違反」に問われる事は有り得ません。
しかし、都市近郊部で、特にひどい所では守らないと逮捕、という行政庁まであります。バリア
フリー設備の設置や単身者住戸規制において、特に、この様な条例が多くなって来ている様です。
(別に正式な法律として、バリアフリー法(通称)という物もありますが、これらの条例は、
その法律にも基づいていません)
「バリアフリー化」という言葉自体は聞こえの良い言葉なのですが、実際問題として、行政が
指導するバリアフリーは「保護を受けられる高齢者」を対象としており、廊下幅や施設など、
非常にスペースを大きく取る構造となっています。
共用部分は容積対象外ですが、住戸内の廊下やエレベータ等は容積率対象であるため、これらの
指導を守った賃貸住宅は、住戸数が減り、建築費は上がる事になります。
結果として、家賃は割高にしなくてはならなくなり、「家賃補助を受ける事の出来ない健康な
高齢者」が住むことのできる賃貸住宅を無くしてしまう方向にあります。
当社では、条例化されてしまった行政指導に対しては、逆らう事は出来ません。しかし、設計
依頼者の方が条例の是非を問う行政訴訟を起こされるのであれば、建築に関する知識をご提供
するつもりでおります。
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